「北畔」と「料理研究家 阿部なを」のお話
上野のアメ横のすぐ近くの繁華街。ガラスの格子戸を開けると、約55年前に開店した当時のままの
空間が広がります。18年ほど前まで、片隅には白髪をひっつめた老婦人がちょこんと座っていました。
つむぎの着物に白いたすき、縦じまの前掛け姿。店のあるじで、料理研究家としても知られた
阿部なをは1996年、84歳で亡くなるまで津軽の郷土料理店「北畔」に立ち続けました。
「捨てるところに心をかけてやれば、もう一品になるんだよ。
ものの命を頂くんだから」。が、なをの口癖でした。
なをは晩年、こんな歌を残しています。
みそ汁に はこべ浮かべて こと足りて
北畔のこれまで
北畔の歴史
昭和34年(1959年) 阿部なを創業
阿部なを 明治44年生(1911~1996年)
人形作家・料理研究家
NHK「きょうの料理」の人気料理研究家として
テレビ、雑誌で35年に渡り活躍した。
主な著書に「酒の肴の四季」「小鉢の心意気」など。
26歳の時、人間国宝・堀柳女に師事し、48歳より料理の道に入り、東京上野6丁目に北畔を出す。
「踏まれても踏まれても、どこまでも続くあぜ道」。そんな思いを込め堀先生より畔の一字を戴き、
東北出身のなをが北の一字を足して「北畔」と名付けた。
開店以来常連だった、石坂洋次郎(作家)・佐藤寒山(刃剣博物館)・倉田蔵(奈良国立博物館 館長)・寺山修司さんら諸先生方が北畔の推選文を書いてくださり、
大いに賑わった。1996年以降は、阿部かよ子が引き継ぎ開店当初の趣をそのままに創業55周年を迎えます。
春の名物天然山菜のてんぷら・行者にんにく、夏には鮎の風干し、秋には岩木山麓天然きのこ、冬には北畔名物津軽雪鍋と美味白子あげ日本の四季をお楽しみ下さい。
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